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おひとりさまの終活

終活を取り巻く問題とは?

現代社会では、若さや活力に目を向け、老いや死を遠ざけたり忌み嫌う雰囲気が広がっています。
そのため、死についてじっくり考えたり話すことができないまま、「このままだと誰かに迷惑をかけてしまう」といった不安感を募らせてしまいます。

また、準備する内容は医療・金融・介護・相続など多岐にわたるため、何からどう手をつけていいかわからない難しさがあります。

一方で昨今の終活ブームにより、終活に関連する様々な商品やサービスが現れています。便利になっている反面、選択の難しさや悪質な商品を見分ける必要性もあり、さらに取りかかりにくいものにしています。

市民の終活を取り巻く問題とは?

終活にまつわるさまざまな問題

個人が終活について認識し準備することは大切なことですが
終活を実践するにあたりまだまだ下記のような問題があるのが現状です。

  • 情報が少なく、断片的なため
    終活の準備の仕方がわからない

  • お墓や葬儀の生前契約に関するトラブル

  • 葬送や死後事務手続きを担う人がいない

  • 終活をかたった悪質な商法の増加

  • 福祉、医療、金融、法務、不動産など多様な
    専門分野にまたがるため、横断的な支援を得にくい

  • 身の回りの世話をする人がおらず、
    病気・死亡の発見が遅くなる

  • 医療同意が得られず十分な医療サービスを
    得られなかったり、望まない延命治療がされる

  • 自分がいなくなった後の子のことが心配

福岡市における、終活福祉の現状

高齢化に伴い、終活を必要とする方が増えています

日本社会が超高齢化・多死社会へと構造が変化する中で、これまで家族が担ってきた「介護や金銭管理などの日常のお世話」、「葬儀などの死後事務」といったことを任せる人がいない方が増えています。

また、高齢者単身又は高齢者のみの世帯の増加傾向は、 今後数十年間続く見込みです。終活のニーズや家族以外の第三者に支援を託すケースも、ますます増えていくことが予測されます。

福岡市における世帯構成の変化

ニーズ増加の一方、不安も

終活の重要性が増している一方で、
「実際に終活に取り組んでいる」方の割合は5%程度であるという調査結果もあります。
取り組めない要因として、「終活の分野が多岐にわたり、何から手をつけていいかわからない」が挙げられます。

ニーズ増加の一方、不安も
「終活」について不安に感じること
何から手をつけたらいいかわからない
36.0%
自分の死後が心配
24.8%
残された家族の将来
22.1%
始めるタイミングがわからない
20.3%
相談できる相手がいない
18.6%
遺言書等に記載する内容がわからない
12.4%
葬儀やお墓の準備の仕方がわからない
11.7%
誰に相続すべきがわからない
10.4%
自分が入るお墓がわからない
8.7%
自分の財産が把握できない
8.4%
ペットを誰に託せばいいかわからない
4.2%
借金があり対処の仕方がわからない
3.7%
その他
1.0%
特に不安はない
28.8%

出典:楽天インサイトしらべ(2019年4月)「終活に関する調査」

終活で準備する主な事柄

  • 介護
  • 後見制度
  • 金銭管理
  • 遺族の将来
  • 葬儀
  • 生前整理
  • 死後事務
  • 保険
  • 遺品整理
  • 相続
  • 納骨
  • 不動産

※個人によって、必要なことは異なります。

まだまだ消極的な印象の終活

「終活をする(したい)」理由についてのアンケートへの回答として最も多かったのが「家族に迷惑をかけたくないから」でした。もちろん家族に迷惑をかけてしまうのではないかという不安を取り除くことは大切なことです。しかし今後より積極的に終活に取り組んでいただけるよう、「自分の人生の最期を自分で決定する」という、前向きで明るいものへと変えていく必要があります。

「終活」をする理由(2022年度)
家族に迷惑をかけたくない
67.2%
寝たきりになった場合に備えるため
30.2%
自分の人生の棚卸し、整理をしたいから
28.3%
後に何も残したくない
21.1%
自分の人生の終わり方を自分で決めるため
19.0%
これからの人生をより良くしたい
15.4%
葬儀などの希望を家族に伝えるため
11.6%
自分が家族の死で苦労したから
11.5%
話題になっていて興味を持った
3.0%
その他
1.0%

出典:楽天インサイトしらべ(2019年4月)「終活に関する調査」

課題解決のための私たちの取り組み

本人が望む「最期までの生き方と逝き方」の実現

終活は「縁起が悪い」ものでもなければ、「自分に関係がない」ものでもありません。
いつ訪れるかわからない、誰にでも訪れる死に向き合う終活は、今をよりよく自分らしく生きるための処世術です。身内に迷惑をかけないための消極的な「終活」から、誰もが多様な縁の中で自分らしく生きる積極的な「終活」へと、意識を変えていく必要があります。
福岡市社協では、公正な立場で分野横断的な助言を提供し、その方らしい終活の進め方、
その時の迎え方を準備するお手伝いをしています。

  • 終活出前講座49会開催 1,485人が受講
  • 終活についての相談 852件に対応
  • 死後事務委任事業 118名が契約

(令和元(2019)年度 実績)

71歳の独身女性への支援事例

ご本人の意向・状況

  • 親族は姉とその子(甥)がいるが、30年来音信不通
  • 亡くなった時に葬儀や納骨を頼める人がおらず、周りに迷惑をかけるのではないかと心配
  • 認知症を発症した時の財産管理が不安
  • 遺産は、親族への相続だけではなく、一部は、世界中の子どもの貧困問題に取り組んでいるNGOに使ってほしい
  • 元気なうちは地域活動に取り組み、「生きがい」を見つけたい

社協の支援内容

  • 「やすらかパック事業」契約締結
  • 契約中の意思能力低下時に、財産管理等を行う「法人後見事業」を説明
  • 遺言書の作成を支援し、希望するNGOへの遺贈を記載
  • 区社協が、校区の「ふれあいサロン」のボランティア活動をコーディネート

ご本人の声

65歳で定年してからは閉じこもりがちな生活を送っていましたが、将来への備えが整ったことで不安感が解消し、前向きになれました。ボランティア活動で友達も増えて嬉しいです。

知的障がいのある娘と二人暮らしの76歳男性への支援事例

ご本人の意向・状況

  • 知的障がいのある娘(40代)と二人暮らし
  • 妻は昨年他界し、頼れる親族はいない
  • 何かあったときの入院支援や、葬儀などを娘に任せることができない
  • 亡くなったあと、残された娘の生活が不安。娘は一人でも生活はできるが、気軽に相談できる相手が必要で、お金の管理が苦手

社協の支援内容

  • 「ずーっとあんしん安らか事業」を契約し、自身の入退院支援や死後事務へ対応
  • 医療同意の仕組みを説明し、尊厳死宣言を公正証書で作成
  • 区社協を通じて、校区が実施する「ふれあいネットワーク」の見守りを依頼し、身近な地域で相談できる人間関係を構築
  • 自身の遺産から毎月定額を娘の生活費として渡す信託契約を金融機関と締結

ご本人の声

妻を見送ったときの労力を思うと、自分の葬儀などを娘に任せるのは不安でした。自分のことだけでなく、娘の〈親なき後〉の生活に見通しが立ったことで安心しました。

  • 終活サポートセンター

    相談窓口(終活一般相談・予約制専門相談)で、終活出前講座・出張相談窓口の開催などを行っています。
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  • ずーっとあんしん安らか事業

    事前に預託金を預かり、ご希望に沿った葬儀・納骨や家財処分等のサービスを実施します。
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  • やすらかパック事業

    一時金なし、毎月定額の利用料のみで、葬儀・納骨や家財処分等のサービスを実施します。
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  • 親なき後支援事業

    生命保険信託の仕組みと身上保護サービスを組み合わせ、親なき後の子の日常生活を支援します。
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  • 西日本シティ銀行との協定

    西日本シティ銀行の信託サービス窓口と連携し、終活の情報提供体制を構築しています。

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「おひとりさまの終活と福岡市社協の取り組み」

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