福岡市社協は、親族や専門職による後見人が得られにくい人に対して、福岡市社協が成年後見人等に就任し、身上保護や財産管理等を行なう法人後見事業に取り組んでいます。実務は市社協に所属する法人後見専門員と市民参加型後見人が担い、月に1~2回、利用者を定期訪問しています。
ダウン症のHさんはグループホームに住んでいます。この日、グループホームの職員の協力を得て、グループホームと市社協とをオンラインでつなぎました。無事につながるか不安な表情でパソコンを見つめていた法人後見専門員の野田さん(写真右)、市民参加型後見人の吉原さん(写真左)は、パソコン画面にHさんの顔が映ると、思わず手をたたいて喜びの声を上げました。
画面越しに聞こえる2人の声に、最初はキョロキョロしてとまどいの顔を見せたHさん。「Hさんの声も聞こえるよ」「元気だった?」と呼びかけると安心した表情に変わり、2人の問いかけに応じていました。
Hさんは日常生活でイヤなことや辛いことがあった時、自分の前髪を切ります。そのため、対面時にHさんの髪型や表情をよく見るようにしています。この日、普段と変わらないHさんの顔を見て、2人は安どしました。
時間が経つにつれて会話も増え、30分ほどしてこの日の面会は終了。真っ赤な目をして「会いたい」と小さな声でつぶやいたHさんの表情が印象的でした。
↓カメラに向かって手を振る野田さんと吉原さん
初めてのオンライン面会がうまくいったことから、現在もオンライン面会を続けています。Hさんは言葉で伝えるのが苦手で、対面時も筆談していたため、スケッチブックに文字を書いて画面越しに見せる、音声を聞き取りやすくするためヘッドフォンを利用する、といった工夫もしています。
また、Hさんはカメラの位置がわからず、うつむきがちだったため、目印となるシールをカメラの近くに貼ってもらいました。Hさんがシールを見ることで顔がカメラによく映り、髪型や表情、顔色がよくわかるようになりました。
↓ぬいぐるみをカメラレンズに向け、カメラの位置などを説明
緊急事態宣言が解除され、グループホームへの訪問が可能になりましたが、しばらくはオンラインを併用して面会を続けていく予定です。これまでHさんからの急な相談はファクスでやり取りをしていましたが、画面越しの筆談によって相談内容をスムーズに把握できるメリットもあります。また、オンラインなら、東京に住む叔母さんとも面会でき、2人の「会いたい」という希望も叶えられます。
今、Hさんはオンライン面会を「テレビ電話」として理解し、「テレビ電話しよ!」という声かけが日常になっています。
あんしん生活支援センター
電話番号 092-751-4338
ファクス 092-751-1509
※この記事は令和3(2021)年11月現在の情報です。