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活動レポート

認知症社協スタッフ・SWレポート

自分らしい生活の実現を支える

私は、令和62024)年4月より成年後見推進係に配属となり、市民の方や、医療機関・いきいきセンターなどの支援機関からの成年後見制度の利用に関するご相談をお受けしています。

例えば「認知症の親が何度も通帳を紛失して銀行に問い合わせを繰り返していたら、成年後見制度の利用を勧められた」「身寄りのない入院患者の今後のために、成年後見制度を利用した方がよいか」などの相談が寄せられます。

このような相談に対し、成年後見制度の概要と手続きの流れ等について説明し、適切なタイミングで制度をご利用いただけるよう応じています。また、広報・啓発の一環として、出前講座なども行なっています。
※成年後見制度についてはこちらを参照→福岡市成年後見推進センター

区社協での悔しさをバネに

区社協に在籍していたときに支援をしていた方の中で、印象に残っているケースがあります。

 

それは、「日常生活自立支援事業※」による支援をしていた、あるご夫婦のケースです。

加齢から少しずつ最近のことを思い出すことが難しくなり始めた夫と、認知症の症状が進行し周囲への妄想や暴言が出始めていた妻。

お二人は長年、自宅で生活をしておられましたが、親族から金銭の要求があり、年金支給日の前にお金が足りなくなることがしばしばありました。

 

ある時、妻が自宅で転倒し、入院治療が必要となりました。

夫が「自宅で妻の帰りを待ちたい。今の家でこれまでと同じように生活を続けたい」と希望されたため、夫のみ本会と日常生活自立支援事業の契約をしました。

 

本会の支援によって夫の生活状況は一時的に改善されたものの、入院中の妻に対する親族の金銭の要求は続いたため、妻の財産を守るためにはどうしたらいいのか他機関と話し合いを重ねました。

その後、妻の認知機能が低下し、今までのように自宅で生活をすることが難しくなりました。

そこで夫に今後の生活について尋ね、「妻と一緒に施設に入りたい」というご意向を確認し、施設入所契約ができるように、ご夫婦で成年後見制度を利用することになりました。

その後は親族からの金銭的な要求もなくなり、落ち着いた生活を送られました。

ご夫婦の願いは、相談当初から「二人で一緒に暮らし続けること」でした。

成年後見制度の利用のタイミングが適切であったか、と自問自答し、自身の経験不足を痛感しましたが、組織内外で連携をとり、支援を進めていくことの大切さを学びました。

この経験をきっかけに、支援の途中であっても、ご本人の気持ちに立ち返り、希望に沿った支援を行なっていきたいと考えるようになりました。

 

※参考:日常生活自立支援事業

本人との契約に基づき、金銭管理や福祉サービスの利用援助などの支援を行う。成年後見制度とは異なり、本人の代わりに契約行為等を行うことはできない。

自分らしい生活を送りたい!そんなあなたを応援します

成年後見制度は、ご家族以外の第三者が金銭管理などを行なうことも考えられるため、まずはどんな生活を送りたいのか、ご本人の希望を伺うようにしています。


最近は任意後見制度についてなど、ご本人からの相談も少しずつ増えています。

相談を通じて「息子にこれからのことを頼みたい」「今の家で暮らし続けたい」など相談者の思いに触れることがあります。

ご本人が望むこれからの暮らしに向けて、成年後見制度以外にも利用できる制度があれば一緒に情報提供するなど、わかりやすく説明するよう心がけています。

誰もが「いつまでも自分らしい生活を送りたい」という気持ちを持っていると思います。

「自分らしい生活の実現を支える」ためにどのような支援ができるか、これからもご本人やご家族、周囲の支援機関の皆さまの気持ちや考えに寄り添いながら、対応していきます。

自分らしい生活を送りたい!そんなあなたを応援します
■この記事に関するお問い合わせ

成年後見推進係

電話番号 092-753-6450
(火曜~土曜 9時~17時 祝休日・年末年始を除く)

※この記事は令和6(2024)年10月現在のものです。

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