福岡市における65歳以上の高齢者数は令和7(2025)年に約37万2,000人と推計され、高齢化率は全国平均に比べると低いものの、高齢化は進んでいます。
高齢化とともに認知症も増加しており、厚生労働省によると、令和7(2025)年には65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると予測されています。
認知症は脳の病気によるもので、誰にでも起こりうることです。
市内では、認知症になっても本人やその家族を地域で見守り、支えあい、安心して暮らしていける地域を目指し、さまざまな取組みが行なわれています。
東区香住丘校区では「認知症声かけ訓練」が行なわれました。
「認知症声かけ訓練」とは、認知症に対する知識を学び(認知症サポーター養成講座)、実際に認知症の方が行方不明になったり、外出中に困ったりしている状況を想定し、地域住民が早期に気づき、優しく声をかけられるよう訓練を行なうものです。
訓練は、区(地域保健福祉課)や区社協、地域の事業所ネットワーク(※)と協働で行なっています。
※事業所ネットワークとは…
地域の課題解決に向け、福祉・介護・医療・障がい等の事業所や専門職が連携して自主的に活動に取り組むネットワーク。
↓訓練の手順を確認する参加者
訓練では、通行人が認知症の方に出会うという想定で、「帰り道が分からず、キョロキョロしている」「立ち上がれず、公園に座り込んでいる」といった5つのシーンでの声かけの仕方を学びました。
参加した地域の皆さんは、専門職のアドバイスを受けながら声かけを実践し、認知症の方への理解がよりいっそう深まったようでした。
↓さまざまなシーンを想定して声かけを実践
○まずは見守る
○余裕をもって対応する
○声をかけるときは1人で
○後ろから声をかけない
○やさしい口調で
○穏やかにはっきりした話し方で
○相手の言葉に耳を傾けてゆっくり対応する
↓訓練後に「声かけのポイント」を記載した”ありがとうカード”を配布している地域もあります。
○地域住民
「訓練を通して、認知症の方への接し方のポイントを学ぶことができたので、困っている方がいたら、勇気を出して、声かけをしてみようと思います!」
○施設職員
「地域の皆さんと一緒に認知症について考えるきっかけになり、良かったです。
今後も対応などで困ったことがあれば、ご相談ください!」
↓訓練後の振り返り
認知症の方への声かけや対応には正解がなく、どのように対応すべきか難しいところですが、認知症の方の行動や声かけの注意点を事前に知っておけば、とまどいは少なくてすみます。
この「認知症声かけ訓練」の他にも、認知症について正しい知識や接し方を身につけるための「認知症サポーター養成講座」や、認知症の方やその家族等が集まって話をする「認知症カフェ」「家族介護者のつどい」なども実施されています。
今後も、認知症になっても暮らしやすい地域づくりを進めていきます。