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活動レポート

孤独・孤立活動レポート

望む暮らしと社会的孤立~望む暮らしの実現に向けて~

なぜ、孤独・孤立が社会問題となっているのか

1人でいることが好きな人もいるから、悪いことではないのでは?と思われる方もいると思いますが、1人で暮らすことや活動することを問題視しているのではありません。家族や友人、地域などの他者との関りがほとんどない、「社会的孤立」が問題視されているのです。

社会的孤立の要因として、核家族化や未婚率・離婚率の増加、出生率の減少などによって、家族・親族の関係の希薄化だけでなく、夫婦共働きや定年後も働く人の増加により、地域活動者の減少や地域活動の縮小などが挙げられます。さまざまな要因が重なり、社会全体のつながりが希薄化していっている中で、コロナ禍が起き、社会的孤立の問題がより一層顕在化・深刻化しています。

2022年(令和4年)の内閣府の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」によると、孤独感が「しばしばある・常にある」との回答が4.9%、「時々ある」が15.8%、「たまにある」が19.6%、「ほとんどない」が40.6%、「決してない」が18.4%、「無回答」が0.6%という結果でした。

「社会的孤立」がもたらす影響

国の政策として、令和3年2月に内閣府に孤独・孤立対策推進室が設置され、令和6年4月1日に「孤独・孤立対策推進法」が施行されました。

孤独・孤立対策推進法の趣旨(※参考1)にも明記されているように、社会的孤立状態は心身に有害な影響を与えるということがさまざまな調査からわかっており、社会的孤立の状態の方は経済的困窮に陥る方の比率が高いことや生きる意欲や自己肯定感が低いこと、さらに健康状態がよくない方の比率が高いといわれています。

社会的孤立状態では、豊かに健康で長生きしたいなどの望む暮らしの実現が難しいと言えるのかもしれません。

※参考1  孤独・孤立対策推進法の趣旨

近時における社会の変化を踏まえ、日常生活若しくは社会生活において孤独を覚えることにより、又は社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている状態にある者への支援等に関する取組について、その基本理念、国等の責務、施策の基本となる事項 及び孤独・孤立対策推進本部の設置等について定める。 →「孤独・孤立に悩む人を誰ひとり取り残さない社会」、 「相互に支え合い、人と人との「つながり」が生まれる社会」を目指す

「社会的孤立」がもたらす影響
本当に望む暮らしとは

「病院での治療や介護サービスは受けず、今までのように自宅に一人で暮らしながら最期を迎えたい。尊厳死を望んでいます」と話される高齢女性がいらっしゃいました。本人は転倒をきっかけに買い物へ行けなくなり、身体が弱っていくなかでも「一人で大丈夫」と言い続けられましたが、だんだん弱っていくその方を心配した地域の方が熱心に関わり続けられたことで「困っているから手伝って欲しい」と話されるようになりました。

何に困っていたのか尋ねたところ、足腰が弱ったことで、行きたいところに行けない、買い物にも行けないので、好きなものを買って食べることができない、具合が悪くても病院に行けなくて、我慢するしかない。そして、片付けやゴミ出しができずに家は散らかっていきました。

本当に望む暮らしとは

本人は「尊厳死」を望まれていましたが、「誰の手も借りない・支援を拒む」という社会孤立状態では、いつの間にか本人の望まない暮らしになってしまっていました。誰かに頼らないとイメージしていた尊厳死ができないということに気づかれた時に、一生懸命関わってくれていた地域の方に心を許すことができ、実は困っていることを言えたのです。

地域の方から連絡を受けた私たちは、地域包括支援センターとどうすれば本人の望む暮らしの実現ができるかと考え、支援を組み立てました。よし、これからという時に本人は自宅で倒れており、亡くなられていました。

もっと早く支援を届けることができれば、違う結果になっていたのではないかという悔しい思いもあります。一方で、地域の方が心配し、一度切れてしまった関わりを繋ぎ直してくれたことで、発見が早く、お見送りができたのではないかとも思います。

私たち福岡市社会福祉協議会は、孤独・孤立の課題の解決に向けて、地域での居場所づくりだけでなく、住まい探しや終活、金銭管理のサポートなどの様々な取り組みや支援を行なっています。

どの取り組み・支援でも大事にしていることは、人とのつながりです。人とのつながりを大事にし、つながりを広げていくことを今後も続けていきたいと思います。

■この記事に関するお問い合わせ

地域福祉課 
電話番号 092-791-6339 

※この記事は令和6(2024)年4月現在の情報です。

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