福浜1・2・3棟(中央区福浜校区)は築50年になる集合住宅です。住民の3人に2人は65歳以上で、高齢化が進んでいます。
住宅から300メートルほどの距離にスーパーマーケットがありますが、「買い物途中で休憩している」「重いものを買って帰るのに苦労している」「道で転んでいる人を見た」という住民の声がたびたび聞かれます。
そこで、自治会と、隣接する西日本短期大学が連携し、11月に「学生によるお試し買い物同行」が実施されました。
参加者は住民4人、学生4人の計8人。住民と学生がペアとなり、住民の自宅からスーパーへ出かけました。学生は福祉を学ぶ海外からの留学生でしたが、住民との会話はスムーズで途切れることなく、学生が商品をカゴに入れたり、重いものを持ったりと、終始和やかな雰囲気で買い物が進みました。
参加した住民からは、「一人では不安も多い買い物に学生さんが同行してくれて、とても心強かった」「おしゃべりも楽しかった」「特売日に合わせて実施して欲しい」という声が上がりました。
学生からも「自国の母のことを思い出した」「とても楽しく活動できた」「また参加したい」という前向きな意見が出され、継続的な実施への可能性が感じられました。
今回は“お試し”として実施したため、住民は元気な方が多かったのですが、それでも「一人で買い物に行く時、重いものを買うのは考える」と全員が口を揃えます。
たとえスーパーまでの道のりが近く、今は元気だとしても、さらに年を重ねたり、膝や腰を痛めたりすれば、わずかな段差や斜面、エレベーターホールや玄関前の階段など、さまざまな場所で不安を感じたり、困る人は増えていくでしょう。
↓福浜住宅のエレベーター前
シルバーカーなどを使って荷物を持ち帰っても、エレベーターの降り口は踊り場にあり、居室へは荷物を持って階段を上り下りする必要がある。
自ら買い物に行くことは、体を動かすという身体的な働き、買うものを考える・計算するという頭の働き、従業員や買い物客とのおしゃべりによる心の健康など、心身の健康維持につながります。住み慣れた自宅での生活に、買い物は欠かすことができません。
昨今、通販や宅配サービスが人気となっているように、情報通信技術や輸送・交通網の発達によって買い物の手段は多様化し、利便性は高まっています。しかし、それらを活用できない高齢者は日常の買い物で困っており、柔軟で持続的な支援が求められます。
福浜校区以外でも、今後「買い物支援」のニーズは高まっていくと思われます。福岡市社協では、生鮮品や日用品の「買い物支援」に関する情報の発信や、地域の買い物支援の取組みのサポートを行なっており、今後も支援を続けていきます。
「買い物支援」については下記ページもご参照ください。
○ふくおか買い物支援ガイド →こちら
※「買い物支援事例集」や「買い物支援ガイドブック」(各区版があります)はダウンロードできます。ご活用ください。
中央区社協事務所 電話 092-737-6280
地域福祉課 電話 092-791-6339
※この記事は令和3(2021)年11月現在の情報です。